2017-06

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Case Studyについて考えたこと

 今日は、選択科目のCorporate Financeの授業で自分のグループがケースのプレゼンをしました。ケースの内容は、あるアメリカの化学品メーカーが、他社から化学製品の一事業部門を買うかどうかを意思決定するために、事業のNPV(Net Present Value、現在価値)を算定するという素直なケースです。その際に新規技術の導入によるコストセーブ、及びその技術の失敗の可能性等を考慮してFree Chash Flowを算出する点がひとつのポイントでした。NPVは、Free Cash Flowを資本コスト(WACC)で割り引いて算出するわけですが、その際に、どのデータをケースから引っ張ってくるか、そして、どのような仮定(Assumption)を置くかがケースの出来を左右する大きな要素になります。最終的な結論としては、新規技術の失敗の可能性が相当高くない限りは、この事業部門を買うべき、というのが私たちのグループの結論でした。このCorporate Financeの授業は全部で6つのケース・スタディが課題として与えられるのですが、もう既にそのうちの3つが今日で終わりました。ちょうど折り返し地点まで来たわけですが、今のところ、この授業はJudgeの今までの授業で一番いいです。そこで、今日は比較的余裕があったので、Financeのケース・スタディの満足度が個人的になぜ他の科目のケース・スタディよりも高いのか考えてみました。


 最大の理由は、ケースに書かれているビジネスの状況を事前に学んだ理論、公式に当てはめて数値化し、意思決定に繋げる、というプロセスが非常にクリアであることだと思います。教科書でただ理論と公式だけ学んでも、現実のビジネスはもっと複雑であるわけで、資本コスト(WACC)の公式を使うにも、DebtやEquityのコストは自社のものを使うのか、同業他社の平均値を使うのか、βは何を使えばよいのか、減価償却費やWorking CapitalはどういうAssumptionに基づいて計算すればよいのか、など不確定要素が多数あります。したがって、どのような状況で何を使うか、というのはケースをやらないとまったく身につかないわけです。これらの不確定要素をひとつひとつ確定させた上で、最後は数値でYES or NOが出てくるというのは何とも快感です。もちろん、実際のビジネスでは、この数値だけで経営判断がなされることはほとんどなく、他の定性的な要素や人的・組織的問題などさらに複雑な要素が絡んでくるわけで、数値に頼りすぎることは危険です。しかし、それを差し引いた上でも、クリアな結論がひとまず出る、というのはやはり気持ちがいいです。


 一方、他の科目、たとえば、Matketing, Innovation, Strategyのケース・スタディでは、Financeほどすっきりした気分になれないのは何故か・・・?ひとつには理論的なフレームワークの理解を自分が軽視していることが挙げられます。そのため、ケースを読んでいても、いまいち自分の物差しで計りながら読んでいる感覚がなく、場当たり的に考えてしまう傾向があります。そうなると、結局、振り返って考えたときに「このケースのポイントは要は何だったのか?」と自分で問いかけてもわからなくなってしまうわけです。では、なぜこれらの科目では理論的なフレームワークを軽視してしまうのか・・・?それは、「なんとなく常識的に考えればわかるじゃん」という意識が働いてしますからです。たとえば、Strategyで出てくるポーターの5フォースにしても、cost advantageのポイントにしても、なんとなく感覚でわかるだけにしっかりと頭に定着させようという姿勢が弱くなってしまうのです。一方、Financeでは、例えば、CAPMがきっちりとわかっていなかったら「はい、それまで」となってしまうので、自ずと理論、公式を正確に理解しようという意識が働きます。


 ケース・スタディの効用は、自分で体験できるビジネスには、自ずと限界があるので、ケースを通じて、”疑似体験”をし、将来、仕事で未知の状況で意思決定しなければならないときに備えて、考え方の”引き出し”を増やすことができることかな、と思います。そう考えると、ケースの内容をいかにリアルに、実体験に近い形で自分にインプットするかがとても重要で、これができないと将来役に立たないわけです。そのためには、理論的フレームワークの理解、ケースを通じたあてはめ、それをベースに人と議論すること、さらには、実際にケースに出てきた会社の人から話を聞くことによってよりケースにリアリティを持たせること、が必須のプロセスになるわけです。


 長くなってしまいましたが、要はFinance以外の科目のケース・スタディでも基本的な取り組み方はFinanceと同じで、理論的フレームワークを軽視してはいけない、というのが今日の私の結論です。(気づくのが遅いですね)

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コメント

睡眠時間も軽視できんのぉ!
しかしPre-readingやケース読む速度が、「やる気」と「テーマへの興味」に強烈に左右されるのはいかんともしがたい。。。

ん~、とても参考になる良いものを読ませていただきました。確かにおっしゃるとおりで、ファイナンスは数字できっちり答えが出るので達成感もあるし気持ちが良いのに対して、マーケ、ストラテジー系は以前のkshさんの言葉を借りると「後付け」のようなイメージがしなくもないでしょうね。Intuitionで答えがわかるっちゃわかるわけですし・・・。自分の場合はその辺逆で、そのIntuitionなり「なんとなく」わかっている答えのようなものをきっちりと裏付けしたり、あるいは答えがわからない場合はそれを論理的かつ効率的(&視覚的)に導き出すガイドラインを与えてくれるフレームワークを学べることにある種の満足感を感じています。自分の判断に自信がもてるようになるというか、客観性を持たせられるし、説得力も増すし、場合によっては自分の思っていたものと違うことが見えてくることもあり得るわけで。役立ちそうなフレームワークを学んだときに、前の職場を思い出して、これをあのとき知ってたら違う判断してたかも、なんて時もたまにあったりします。

Shigeさん

ケースの読む速度は、確かにテーマと興味でおそろしく変わってきますね。この前のMATRAはChannel4の3倍時間がかかった気がします。それにしても睡眠だけは削りたくないです。6時間は寝たい・・・・。


Kensukeさん

とても参考になるコメントありがとうございます。
本来、そういう考えのほうが、MBAのあるべき姿だという気がします。
自分の場合、どうも偏りがあって、直感的にわかっていることを改めて理論的に言われると、反発心が芽生えてしまう傾向が・・・(笑)。でも、MBAの間にひとつでも多くのフレームワークを自分のものにすることがとても大事な気がしてきました。直感だけでは人を説得することはできないわけですし・・・。というわけでStrategyのTextも購入して、読んでます。






Art

Corp Fin、面白いよね。バリュエーションは、"More art than science"とよく言うけど、理論的なツールを駆使しながら、最終的にはIndustryの土地勘とか、現在のマーケットのマルチプルが過去と比べて適正水準なのかとか、そういったソフト・ナレッジも組み合わせて、この価値であればフェアと呼べるのではないかという水準に落とし込んでいく。
仕事ではNPV/DCFはあまり使わないけど、それでもreality check的には使うので毎日楽しくモデルを作ってます。

SKさん

なるほど、バリュエーションは"More art than science"というのはすごく納得。同じグループでCiti出身の人がいるんだけど、彼の考え方とか聞いていると、ある種、職人芸的なものを感じるよ。

それにしてもInvestment Bankの仕事、忙しいんだろうけど、充実感ありそうだね。

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Author:ksh
東京都出身。東京・品川のエレクトロ二クスメーカーに8年勤務。イギリス・Cambridge大学MBAと東大公共政策大学院(Economic Policy)でダブル・ディグリー取得を目指す。

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